約 575,860 件
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/4554.html
いつもと変わらない朝 ただひとつだけ、いつもとは違う朝 この世界に平沢唯は、いない 紬「ん・・・」 琴吹紬は目を覚ます 毎日浴びていたはずの朝日がとても懐かしいものに思えた 紬「よく寝たわ~」 彼女はこの世界に戻ってきた 平沢唯のいない世界に 紬「さて、学校に行く準備しなくっちゃ」 琴吹紬はいつもと変わらぬ日常に戻っていく なつかしい放課後に 平沢唯のいない放課後に ―――― 憂「それじゃ行ってきまーす」 憂「って誰もいないんだけどね」 憂「お父さんもお母さんも居ないとさびしいな、やっぱり」 憂「一人っ子だから余計にね・・・」 平沢憂の一日は始まる マンボウが向かい合った柄のマフラーを巻いて、誰もいない家をあとにする 平沢唯のいない世界で、彼女は今日も歩き出す 憂「あったかいな~・・・このマフラー・・・」 憂「・・・」 紬「おはよう、みんな」 澪「おはよ、ムギ」 律「今日のお菓子はなんだろな」 澪「練習するんだ練習!」 紬「今日はマドレーヌよ~」 律「やったー!澪は練習するらしいからあたし2個ね!」 澪「私も食べる!」 紬「あらあら」 和「ほらそろそろ先生来るわよ」 澪律紬「は~い」 さわ子「はいそれじゃHRを始めまーす」 憂「おはよう」 梓「おはよ憂」 純「今日も寒いね~」 憂「うん、でもマフラーあったかいから」 梓「そのマフラーかわいいよね」 純「でも憂が買いそうな柄じゃないよね、そのマフラー」 憂「そんなことないよ~これ気にいってるんだよ?」 憂「・・・」 憂「うん、このマフラー気にいってるんだ」 梓「?」 純(なんで2回言ったの?) 紬「じゃあまたね」 澪「またな」 律「また明日!」 梓「失礼します」 平沢唯は消えた全員を元に戻した 自分以外は全員居る世界 皆が楽しく暮らせるならそれでいい 自分のいない世界でも皆が幸せなら自分も幸せ そう思い彼女はこの世界から消えた 願わくば、誰も自分の事で悲しまないで欲しいと思いながら 最後にこの世界の全員を愛おしいと思いながら 最愛の妹を想いながら 平沢唯は、消えた 憂「じゃあね」 純「うん!それじゃ」 しかし平沢唯はあの夢を終わらせた訳ではない 世界は戻ってもあの夢は消えなかった 消えなかった夢はどうなるのか どこから来てどこへ行くのか そもそもあの夢はなんだったのか 平沢唯はそのことを知らないまま、世界から消えた 澪の自宅 澪「ふわあ・・・そろそろ寝ようかな」 澪「・・・」 澪「・・・」スヤスヤ 澪「・・・」 澪「・・・?」 澪「ここどこ?」 気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた 唯「究極の選択!」 ほんとにおしまい 戻る
https://w.atwiki.jp/omomuki/pages/38.html
その時点では最良に見える選択をしているのに、全てが裏目に出て最悪の結果になる ってのを毎回繰り返し、「自分の1番最初の願い」や「大切な人から託された願い」を忘れ、 ついには大好きな人達をも巻き込み傷透けることになってしまう、 更に裏ではその出来事を利用されていて もう八方塞で救いの道が見えない主人公が好き(しんどいたすけて 何か語りたいことがあればコメントにどうぞ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kumicit/pages/331.html
批判サイド インテリジェントデザイン批判 Jason Rosenhouseの「自然選択はトートロジーか」 James Madison Universityの数学科の Jason Rosenhouse 準教授の連載コラム CSICOP Evolution and Creationから、「 Is Natural Selection a Tautology? (自然選択は、トートロジーか?)」を紹介する。 かつて、自然選択と適者生存はトートロジーだという主張は創造論者のデフォな主張だった[ Gish 1981 ]。もちろんそれは FAQな間違い であり、今や 創造論者も放棄している 。 そもそも、適者生存は自然選択の別名であり、" Origin of Species "では、"Survival of fittest"(適者生存)は使われていない。そして、" Origin of Species, 6th Edition " で登場する: I have called this principle, by which each slight variation, if useful, is preserved, by the term natural selection, in order to mark its relation to man s power of selection. But the expression often used by Mr. Herbert Spencer, of the Survival of the Fittest, is more accurate, and is sometimes equally convenient. 個々の少しの変化が、もし有益であれば保存されるというこの原則を、人間の力による選択との関係で、自然選択(選択)という用語で呼んだ。しかし、Herbert Spencerによって、しばしば使われる適者生存という表現が、より正確で、ときには手頃である。 (CHAPTER III. STRUGGLE FOR EXISTENCE.) しかし、インテリジェントデザイン系の反進化論本[ Ann Coulter Godless The Church of Liberalism ]で未だに主張されている。これを批判したのが、Jason Rosenhouseの連載コラムだ。 Jason Rosenhouse "Is Natural Selection a Tautology? 自然選択は、トートロジーか? Ann Coulterの新刊本"Godless The Church of Liberalism"が New York Timesで現在ベストセラーリストの第1位にいる。この本は進化論について4章をさいている。これらの章で、右翼な論客として知られるCoulter は、進化を、政治的リベラルの創造神話と々な見せ掛け科学以外の何ものとして描写しようとする。生物の初歩を知っていれば、この文章を読めば、とても奇異に感じるだろう。あらゆる反進化論文献と同じく、提示される論は間違っていて、しかも混乱してCoulterが何を指摘しているか、しばしばわからなくなる。 このエッセイでは、Coulterが基礎とした論の一つだけを扱う。この連載のコラムの動機は、常に基本的な生物学の質問に対して、はっきりした考えを進めるための道具として味気のない創造論者の無駄口を使いたいというものだった。何故Coulterによる進化生物学のカリカチャーが間違っているかを注意深く考えることで、本物をよく理解できるようになることを望む。 問われる論は「The Tautology Objection (トートロジー異論)」と呼ばれるもので、Coulterのバージョンでは: The second prong of Darwin’s “theory” is generally nothing but a circular statement Through the process of natural selection, the “fittest” survive. Who are the “fittest”? The ones who survive! Why look it happens every time! The “survival of the fittest” would be a joke if it weren’t part of the belief system of a fanatical cult infesting the Scientific Community. The beauty of having a scientific theory that’s a tautology is that it can’t be disproved. Evolution cultists denounce “Creation Science” on the grounds that it’s not “science” because it can’t be observed or empirically tested in a laboratory. Guess what else can’t be observed or empirically tested? Evolution! (pp. 212-213). ダーウィンの"理論"の第2の枝は、一般には循環論法にすぎない: 自然選択の過程によって、"適者"が生存する。誰が"適者なのか? それは生存したものだ! それはいつでも起きる。"適者生存"は科学界を侵す狂信的カルトの信仰の一部でないなら、ただの冗談だろう。 トートロジーである科学理論を持つ美しさは、それが反証できないことだ。それが、それが観察できないか、研究所で経験的に検証できないのでそれが「科学」でないという理由で、進化論熱狂者は「創造科学」を非難する。何が他に観察されることができないか、経験的に検証できないかについて推測できるか? 進化論! (pp. 212-213)。 保守系コメンテーターであるTom Bethellは、昨年12月のNational Review Onlineで、主たる点を明解に表現した: Darwin s claim to fame was his discovery of a mechanism of evolution; he accepted “survival of the fittest” as a good summary of his natural-selection theory. But which ones are the fittest? The ones that survive. There is no criterion of fitness that is independent of survival. Whatever happens, it is the “fittest” that survive by definition. (Emphasis Added) ダーウィンの名声は進化のメカニズムの発見によるものだ。彼は"適者生存"を自然選択の理論のよい概要として受け入れた。しかし、何が適者なのか? それは生存したものだ。生存と独立した適者の基準はない。 何が起きようとも、定義上、適者は生存する 適者をどう定義するかの詳細を考える前に、まずこの論の怪しい点に注意しなければならない。CoulterとBethellはここで、最近の発見が進化を不適切な理論だと示したとは言っていない。そうではなく、彼らは科学者が単純な論理的不注意をしたと主張している。Bethellが同じ論を提示した Harper s Magazineの記事に対する反論として、古生物学者Stephen Jay Gouldは次のように書いた: Bethell’s argument has a curious ring for most practicing scientists. We are always ready to watch a theory fall under the impact of new data, but we do not expect a great and influential theory to collapse from a logical error in its formulation. Bethellの論は大多数の活動中の科学者にとって奇妙なリングを持っている。我々は常に、新しいデータの結果によって理論が崩壊するのを見る用意ができている。しかし、その構築のときの論理エラーによって影響力の大きい理論が崩壊するとは考えていない。 本当に。科学者は結論に飛びつたり、不適切なデータから誤った理論に到達することは大いにある。しかし、科学史上で、賢明な外部からの論理的不注意に気づいただけで、主流の座に着いた理論が分解してしまったことは一度もない。進化論がトートロジーだと示唆するCoulterとBethellの構成は、彼らが攻撃対象としている理論を理解していない(あるいは、意図的にゆがめているかだが、これは我々は考慮しない)。 では、可能な限りもっとも直接的な形でこの論に反論しよう。進化論では生存したものが適者だと定義されていると主張されている。これは、論の要点である、そして完全に間違っている。実際には、適者とは、身体的特徴と彼らが見つかる環境に基づいて、最も多く子孫を残すと期待されるものだ。これをGouldは次のように説明した: My defense of Darwin is neither startling, novel, nor profound. I merely assert that Darwin was justified in analogizing natural selection with animal breeding. In artificial selection, a breeder s desire represents a “change of environment” for a population. In this new environment, certain traits are superior a priori; (they surive and spread by our breeder s choice, but this is a result of their fitness, not a definition of it). In nature, Darwinian evolution is also a response to changing environments. Now, the key point certain morphological, physiological and behvioral traits should be superior a priori as designs for living in new environments. These traits confer fitness by an engineer s criterion of good design, not by the empirical fact of their survival and spread. It got colder before the wooly mammoth evolved its shaggy coat. 私のダーウィンの擁護論は、別に驚くようなものでも、目新しいものでも、深いものでもない。私は、ダーウィンは自然選択のアナロジーとして動物のブリーディングを挙げたことは正当だったと主張するだけだ。人為淘汰における畜産家の要求は、集団にとっては"環境の変化"を意味する。この新しい環境では、ある特徴はアプリオリに優れている。それらは畜産家の選択によって生存し、増殖する。それは適応性の結果であって、定義によるものではない。自然においては、ダーウィンの進化は、同じく環境の変化への応答である。今やキーポイントは:特定の形態や、生理的あるいは行動の特徴が、新たな環境で生きていくためのデザインとして、アプリオリに優れていなければならない。これらの特徴はエンジニアの基準で適応となるのであって、彼らが生き残って増殖したという経験的事実からではない。ウーリーマンモスが毛皮を進化させる前に、寒冷化したのだ。 ある生物集団が見つかる場所の環境についての完全な情報が我々にあるとしてみよう。さらに、我々は集団において、遺伝可能な変種の範囲を完全に知っているとしよう。この状況下では、我々は集団の将来の進化について、確定的なことが言える。一群の科学者がこれらの情報を調べて、集団のメンバーのどれが最適者であるかのコンセンサスに到達できる。これがただ生存したということの独立な、適者の基準となる。 しかし、これがすべてではない。将来の予測は進化生物学のほんの一部にすぎない。進化の興味深いイベントの大半は、遠い過去に起きている。過去が科学者に提示する問題を解明し説明することは、前のパラグラフで考えたこととは正反対になる。現在の環境について与えられた情報によって、種の将来の進化を予測しようとするかわりに、今度は我々は、生存した生物の種類から与えられる情報によって、先祖の環境を理解しようとする。 このコンテキストでは実際に、科学者は、長い時間にわたって持続し発展する特徴が、彼らが先祖から受け継いだ適応上の有利の故だと仮説を立てる。ここで重要なことは、これが探求の始まりであって、終わりではないことだ。探求中の特徴が長きにわたる自然選択の結果から現れたという仮定は、探求対象の生物について検証可能な仮説を作るために用いられる。生物学者 George C. Williamsは、"Plan and Purpose in Nature"という本で次のような例を提示した: Productive use of the idea of functional design, in modern biological research, often takes this form an organism is observed to have a certain feature, and the observer wonders what good it might be. For instance, dissection and examination of a pony fish shows it to have what looks like a light-producing organ, or photopore, and even a reflector behind it to make it shine in a specific direction. So we accept the conclusion that the organ is good at producing light, but the obvious question then becomes, What good is light? The pony fish photopore is deep inside the body. Can it really be adaptive for a fish to illuminate its own innards? 機能的デザインという考え方を生産的に使うことは、現代生物学の研究では、次のような形をとることが多い:ある生物が特定の特徴を持つと観察され、観察者はそれが何の役に立つのかと疑問に思う。たとえば、ポニーフィッシュを解剖調査して、発光器官のようなものと、その後ろにリフレクターのようなものがあって、特定方向に輝かせるようになっているとわかったとしよう。我々はそれらの器官が発光に有効だという結論を受け入れるが、光に何のご利益があるのかという明らかな問題が出てくる。ポニーフィッシュの発光器官は体内深くにある。自らの内臓を照らして適応的によいことがあるだろうか? The organ is situated above the air bladder, and the light shines downward through the viscera. The pony fish is small and its tissues are rather transparent. Some of the light gets through and produces a faint glow along the ventral surface. But what is the use of a dimly lit belly? Perhaps it makes the pony fish more difficult to see in the special circumstances in which it lives. It inhabits the open ocean, where it may move toward the surface as darkness approaches, but spends the daylight hours far below at depths where the light is exceedingly dim by our standards, detectable only as a murky glow from above. 発光器官は浮き袋より上にあり、光は内蔵を通して下方に輝く。ポニーフィッシュは小さく、その組織はむしろ透明だ。光の一部は腹部を通過し、その表面にかすかな輝きを作る。ぼんやりと光った腹部は何の役に立つのだろうか?おそらくは、それが生きている特殊な環境では、ポニーフィッシュを視認しにくくするのだろう。ポニーフィッシュは暗い時は海面に向かって動き、昼間は海洋深くの我々の基準からすれば非常に暗い、上からの弱い光のものでしか見つけられないところで生活している。 Williamsは、この仮説が、どのようにして、カモフラージュを第一の機能として持つような光度を、ポニーフィッシュの発光器官が持っていること検証する実験を導けるかを説明する。科学において、淘汰を基礎とする論理がどのように使われるかの素晴らしい具体例だ。 自然選択が、生物学研究の抽象的な原則として使われることはない。"適者生存"は自然選択について何が重要かをつかんだキャッチーな表現だが、専門家の研究論文ではあまり見かけることはない表現だ。そのかわりに、科学者は、特定の環境で特定の特徴から得られる適応の有利さについての特定の仮説を提案する。たとえば、暗色化した蛾は明るい色の蛾よりも暗色の樹木にとまるときに捕食者たる鳥に見つかりにくいというのは、何らトートロジーではない。 このような形で科学者に使われる論理は、歴史家が特定の事件がそのように起きたのが何故かを理解しようとするのと同じだ。19世紀米国を研究している歴史家は、その研究を南北戦争で北軍が勝ったという事実から始めるだろう。このスタートポイントから、自然と、北軍が南軍に勝つことが出来た有利な点は何かを問うことになるだろう。しかし、北軍がそのような有利な点を持っていたという仮定は、歴史家の研究のすべてではない。そして、誰も、歴史家の研究が循環論法に基づくものだという合理的な異論を考えることはないだろう。 さて、長きにわたる進化の歴史を生き残る生物の集団は、戦争の勝者のようなものであり、ここでは生存者である。生き残れたものが、生き残れなかったものより何らかの有利な点を持っていたと仮定することは完全に合理的だ。これらの有利な点の正確な性質を定めることは、実際上は困難な問題となるかもしれない。しかし、有利な点が存在することは確実に何の問題もない。 我々はトートロジー異論について2つの答えを提示した。ひとつめは、生存から独立した適者の基準がないという中心的全体が間違っているということ。ふたつめは、示唆されるように"適者生存"が表現するような単純な形で、実際に自然選択が適用されないということ。そうではなくて、科学者は選択を基礎とする論理を、研究対象とする生物について、特定の検証可能な仮説をつくるために使う。 Stephen Jay Gouldはかつて、創造論者は、進化論に反する論理を作るとき、それがどんなに空虚でも、何度論破されても、その論理を使おうとするという"まったくの恥知らず"だと見た。彼は創造論者と並んで右翼の扇動家も含めていたかもしれない。"トートロジー異論"は進化論の最も基本的な要素を熟知した者による、検査を生き残れない。 Coulterがあまりに不正直に論点を挙げて、その結果として本は売りまくっていることは、政治的な右にいる多くの人々にとって、Coulterが話していることを知ることが何の価値を持たないことを証明している。 オリジナルページ
https://w.atwiki.jp/japan_dorama/pages/543.html
amazonで探す @楽天で #ウーマンズ・アイランド~彼女たちの選択~ を探す! 日テレ21 00 2006.02.24 公式HP wikipedia Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索
https://w.atwiki.jp/dx3rd_idnotes/pages/52.html
Case03/取捨選択のデッドライン 今回は割とお留守番気味っス。 新戦力増強の件 先日のマスターブレイズ襲来の件がよほど上層部の危機感を煽ったっぽいっスね。援軍が一気に4人も増えたっス、気は楽になるっスけど支部がちょっと手狭っスね。ボチボチ大引越し計画が発動するかもっス。 ともかく1人目は北澤 高壱サンっス。元々こっちに増員される予定だった、隣の八尾支部に所属していたUGNチルドレンの人っス。ぱっと見はどうも気弱そうっスけどなかなかどうして男の子って奴ですな。やっと支部長サンとしても気楽に話せる人間が出来たというところっスかねぇ。あい?私っスか?いや、別に弄るのは役回りじゃないっスけど、やっぱり支部長サンとしても女所帯ばかりでは気が休まらんってものでしょう。 2人目はジーン・ノウマンサンっス。UGNの中枢評議員サマから肝入りで派遣されたエラいサンっスね……他意はないっスよ?何と言うか、見事な模範エージェントっスねぇ、非模範の新米エージェントとしては肩身が狭いっス。まあぶっちゃけ、支部長サンに一番必要なのはこういう普通に優良なエージェントサンじゃないっスかね。いい大人代表が瑠璃サンひとりじゃ、ちと座りが悪いと言うもんっス。 で、3人目は嘉納 伊吹サンっス。こっちは上からマスターブレイズ対策に送られてきた日本支部管轄のエージェントっスか。こちらサンもこちらサンで模範的エージェントの大人って感じなんすけど……なんか妙に引っかかるっスねぇ、経歴が普通すぎるというか、キャラに色が足りないというか。まあ、気にしすぎだと思うっス。大人組として頼りにしてるっス、多分支部長サン辺りは。 最後は李 阮黒……えっと『リ ユンヘイ』さん?中国語はサッパリっス。これこそ真の増援と言いますか、“ギルド”所属で上層部の取引の結果、イリーガル扱いで参入した人ですな。多少面倒っスけど“ギルド”の方もこっちの実情も知りたくて恩も売れるってことで利益絡みはハッキリしてるっスからむしろ個人的には付き合いが楽っスね。ま、ガチの犯罪者っスから釈然としない男の子の気持ちも分からないでもないっスけど、社会に出たら個人の好き嫌いで動かせないことは一杯あるっス、少年。 一気に野郎が増えてしまって支部長サンの一党独裁ハーレムは昔日の夢となってしまいましたな……冗談っス。まあ、どうにもウチは良くも悪くもアットホームだったっスからね。総体としてプロっぽい人が何人か入ってくれたのは全体の引き締めとしてはいい傾向と言えるんじゃないっスかね。ん?次の参入予定者は朝倉サン縁のニート?…………予定は未定っス。 科学者サンの裏取引と神代主催人体実験の件 先日激戦の末倒れた支部長サン初めとした初期メンバーは療養期間の予備戦力ということで、新入りサン達で事件の解決に当たったっス。 もっとも初動では事件と言うほどでは無かったっスけど。線は以下の通り。神代のアルバイトに行ったっきり行方不明になってしまったユンヘイサンのご学友。ちょっと調べてみると資金難に陥ってUGNでの研究に行き詰まったジーンの旦那と嘉納の旦那の共通の知人だった研究者サン。高壱サンのクラスメイトで突然病弱設定かなぐり捨てて健康体で学校に出てきた件の研究者の妹サン。以上三本っス。 まあ結局のところ、神代重工の支社がやってた人体実験に繋がるというわけっス。先日の件でもチラッと出てきたっスけど、エグザイルの《融合》を利用した兵器開発とやらを手がけてるそうっスから。同じく《融合》による微量の組織移植を元に医療転用しようとした研究者サンに金を出して引き入れたのは理解出来る流れっス、病弱設定の妹サンが絡めばますますってところですな。 まあ、突き詰めると神代とガチでやりあう事になるっスから出来る限り慎重な対応を検討してたっスけど実際にアルバイト攫って人体実験となっちゃあ強攻策も已む無しってことっス。で、我らが新入りサン達が神代重工那珂沢支社ビル内に侵入して見事攫われた人達を救出してきたそうっス。報告によるとたまたま都合よくマスターブレイズが神代重工に喧嘩売って、そこに敵の大将が喰い付いて表でドンパチやりはじめた隙を付けたらしいっスね。ホントに都合のいいことで。 ただ、件の研究者サンは助けられなかったようで高壱サンがすごく悔しがってたっスね。私としても不肖留守番役とは言え、無念っス。今回は話の流れ的に神代に借りを返して一件落着できるかと思ったんスけどね、なかなか上手くいかないもんっス、悔しいっスね。 あるマスターエージェントの舞台裏。 ヒドイ目にあった、なう。……ともかく噂のアヴァリティアと交戦。総合的に極めて能力が高い、この私が防戦一方に終止する羽目になるとはね。先日の件も含めて少し自信喪失だよ、しばらくマトモにやりあう相手がいなくて鈍ったか。 それにしてもまさか陽動にちょっと出向いただけでいきなり本人が出てくるとは予想外だった。何か要因があるのかしら?今回の件の直前にセルリーダーのウインド・オブ・ラックが出向いて例の二代目の支部に潜り込んだとか。ソイツの絡みに乗る形で陽動を引き受けてやったわけだが……ひょっとしてハメられたかな?どうやら目当ての研究者も利用出きないと見るや容赦なく始末したようだし、話に聞いた通り手段は選ばない男のようだ。 閑話休題としよう。別に問題と言うわけではない、こちらはこちらで目的を達成したのだからね。おそらく当分はアイツと目的が決定的に食い違うことは無いだろう、それまでは持ちつ持たれつだ。二代目の人徳か知らないけれど事前の情報よりも随分と各組織の動きが活発でキナ臭い印象、流石にジェラートひとりでは捌ききれないか、応援の投入を検討予定。 コメント一覧 FH視点を追加してみました。UGNサイドでは書き切れない部分があるので……どっかの誰かがFHのスパイだとか、どっかの誰かが救う予定の研究者を闇にまぎれて始末したとかね!w -- (s/t) 2010-03-09 00 21 41 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/325.html
「第三の選択 米ソ宇宙開発の陰謀」 http //video.google.com/videoplay?docid=-4270009619784824077 現在、googlevideoプラグインはご利用いただけません。 .
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3712.html
第一章 その日、わたしはSOS団メンバー御用達の喫茶店で待ち合わせをしていた。 いま、わたしの周りには、涼宮さんも長門さんも古泉くんもいない。わたしひとりだけがこの席に座っている。 わたしは注文したアメリカンコーヒーをじっと見つめながら、待ち人が来るのを静かに待っていた。 「いらっしゃいませ」 喫茶店の自動ドアが開き、わたしの待ち人がようやくやって来た。彼は店内をキョロキョロと見回し、わたしが座っている席を見つけると、わたしの正面の席に座った。 「すみません、お待たせしまして」 「ううん……わたしもさっき来たところ……」 一瞬、既視感のような感覚に襲われた。ずっと前にもこんなことがあったような気がする。 「ご注文は何になさいますか?」 すまなさそうにわたしに謝罪する彼に、店員が横から声をかけた。 「ええと…俺はアイスコーヒーで」 「かしこまりました」 注文を伝票に書き写して、店員はわたし達の傍から離れていく。 「一応、最後に来た人がおごるのがSOS団の規則なので、ここは俺がおごりますよ」 「うふふ、じゃあお願いするわね」 申し訳なさそうな表情でそう提案してきた彼に、わたしは無邪気に微笑んだ。 しばらくして彼が注文したアイスコーヒーが運ばれてきた。彼は、アイスコーヒーをストローでかき混ぜて一口啜った後、柔らかな表情でわたしに笑いかけてくれた。 「今日はこの後どうしましょうか」 彼の声は、いつもと同じように、わたしの心に溶け込んでくるようだった。それはわたしが彼のことを好きだったからだ。 でも、彼の仕草や態度は常にわたしと一定の距離をとっているようで、わたしがどんなに望んでも彼に近づくことができないように思えた。それもいつものことだった。 わたしは彼との間のこの距離感が嫌だった。いや、歯がゆかった。 彼はわたしのことを大切にしてくれたが、わたしには彼の仕草や態度がまるでお客様のように扱われている感じがするのだ。わたしは彼にもっと身近な存在として扱ってもらいたいのに。 「以前、デパートにいっしょにお茶を買いに行ったことを覚えてますか。今日もあの日と同じようにお茶を買いに行きたいのですが」 「わかりました」 わたしの提案を彼はすんなりと受け入れ、優しくわたしに微笑んだ。その表情を見て、わたしの胸の奥に熱いものが込み上げてくる。 咄嗟に彼の顔から目を逸らし、わたしは立ち上がると、無言のまま、いままで座っていた席を後にした。彼は伝票を手にとり、レジの方に歩いて行った。 先に喫茶店の出入り口付近で待っていると、彼が支払いを済ませて喫茶店から出て来た。 「じゃあ、行きましょうか」 そう言うと、彼はわたしをエスコートするように、わたしの前を歩き出した。それは、わたしとふたりきりでいる時に見せる、彼の普段の行動だった。 普段なら、愛しい彼にこうやってエスコートしてもらうことを嬉しく思い、わたしはうつむいて彼の後をついていくのだが、今日のわたしは彼のこの行動を不満に思った。 わたしは彼のもとに駆け寄ると、勇気を振り絞って自分の願いを彼に伝える。 「あ、あのう、手を……手をつないで歩いてもらえませんか」 うつむきながらそう訴えるわたしを前にして、彼は少しだけ困った表情を浮かべた後、やんわりと微笑み、 「わかりました」 そう言って、彼はわたしに手を差し出した。彼の手を握り暖かい手に触れることで、わたしはほんの少しだけ彼に近づけたような感じがした。 「すみません、無理を言って……」 「なにを言ってるんですか。朝比奈さんほどの美少女と手をつないで歩けるなんて光栄ですよ」 彼はいつものようにわたしを気遣う言葉をかけてくれた。例えそれが彼にとってほんの社交辞令に過ぎなかったとしても、わたしには救いの言葉のように思えた。 思えば、わたしは彼の優しさにどれほど救われてきただろうか。もし彼がいなければ、頼る人もいないこの時間平面で、わたしが任務を達成できたかどうかすら疑わしい。 彼のおかげで、いまのわたしがあるといっても過言ではない。どれほど彼に感謝しても足りないくらいだ。そしていつの間にか、わたしの彼への感謝は好意へ変わっていた。 いつの頃だったのだろうか、わたしが彼を好きだと気づいたのは。彼への想いに気づいたのは。 そんなことを考えながら、わたしが彼と手をつないでデパートに向かっていると、前から涼宮さん達が歩いてくるのがわかった。彼もそれを認識したようで、少しだけ表情が引きつった。 涼宮さん達もわたし達に気づいたようだったが、特に何を言うでもなく、ただわたし達を一瞥してそのまま通り過ぎて行った。 しかし、わたしが三人とすれ違うとき、涼宮さんは不満気な表情で、長門さんは複雑な表情でわたしを見ているのがわかった。古泉くんは引きつった表情でわたしではなく涼宮さんを見ていた。 デパートにたどり着くと、わたし達はあの日と同じように地下の食料品売り場に向かい、どのお茶を買おうか散々迷った挙句、あの日と同じ銘柄のお茶を買った。 「覚えてますか、あの日ここでふたりでお茶を飲んだことを」 「もちろんですよ、朝比奈さんとお茶を飲んだ思い出は記憶喪失になっても忘れることはありませんよ」 きっとこの言葉は彼の本心なのだろう。彼のこの優しさにわたしは惹かれたんだわ。でもその優しさがいまでは…… 「あのときと同じようにお茶を飲んでいきますか? あ、でもさっき喫茶店でコーヒーを飲んだばかり……」 「いえ、大丈夫です。朝比奈さんと飲むお茶なら何杯でも飲み干すことができますよ」 わたし達は店の奥にあるテーブルに陣取り、お茶と団子を注文した。 「あの時はこうやって落ち着いてお茶を飲むことはできませんでしたね」 「それは仕方が無いですよ。あの時は未来からの指令を受けていたのでしょう」 「でも、わたしがもっとしっかりしていればお茶を楽しむことぐらいはできたはずです。あの時ほど自分の力不足を痛感したことは無いわ」 わたしはそう言ってうつむいた。ふたりの間に奇妙な沈黙が訪れる。 「お待たせしました」 店員さんが威勢のいい声でお茶と団子を運んできた。わたし達は無言のままそれに口をつけた。 彼は、少しだけ憂いを帯びた表情で、わたしのしぐさのひとつひとつを眺めていた。わたしには彼が何を考えているのかがなんとなくわかった。 きっと彼はわたしへの最後の言葉を探していたのだと思う。あの喫茶店でわたしと会ったそのときから…… 彼がわたしの方を見て、意を決したように何かを告げようとしたとき、わたしは席を立ち、伝票を手に取った。 「そろそろ行きましょうか」 「え、あ、は、はい」 彼は出鼻を挫かれたような少し戸惑った表情でわたしの顔を見てから、わたしと同じように席を立った。 わたしは彼といっしょに買ったお茶の葉を傍らに携えて、彼を先導するかのようにデパートを後にした。しばらく歩いてから後ろを振り向くと、彼が少し暗い表情でうつむきながら、わたしの後について来ていた。 「あの~」 「え、な、なんでしょうか」 わたしが声をかけると、彼はちょっとびっくりしたような表情でわたしの顔を見た。 「これから公園の方に散歩に行きたいんですけどかまいませんか」 「はい、朝比奈さんがお望みならどこにでもお供しますよ」 そう言って、彼はわたしに微笑んだ。わたしも彼を見て微笑み、片手を差し出す。 「じゃあ、さっきみたいに手をつないでも歩いてくれますか」 「喜んで」 彼はわたしの差し出した手を握り、わたしを導くように歩き始めた。 公園へと行く途中、わたしはSOS団に入団してから彼と過ごした様々な思い出を彼に語りかけていた。彼はわたしの語りかけに相槌を打ってくれたが、何か別のことを考えているようでもあった。 わたし達が公園にたどり着くと、辺りの景色は夕日で真っ赤に染まり、幻想的な風景が目の前に広がっていた。 人通りはまばらで、わたし達とすれ違った若い母親と思われる女性の周りを、幼い子供がキャイキャイとはしゃぎながら駆け回る姿がとても微笑ましく思われた。 「歩き疲れたでしょう。少し休みましょうか」 そう言って、彼がわたしをベンチの方へとエスコートしてくれた。 わたしがベンチに腰を下ろすと、彼は立ったまま真剣な表情でさっきからわたしに言おうとしていた言葉を告げた。 「朝比奈さん、今日でお別れなんですね」 じっとわたしの目を見つめる彼の瞳から目をそらし、わたしは立ち上がると、遠くの方を見ながら答える。 「覚えてますか、わたしがキョンくんに未来人だと告げたのはこの公園でした。時間平面の移動を行って、最初にキョンくんと過去に遡ったのもこの公園でした。 不思議探索のときも、未来からの指令を受けたときも……この公園にはキョンくんとの色々な思い出がある。だから……」 「だから、最後の別れもこの公園でと思ったわけですか」 わたしが言葉に詰まって言えなかったセリフを、彼が代わりに答えてくれた。 「いつかこの日が来ることは覚悟してました。しかし俺は心のどこかでまだ大丈夫だと安心していた部分があったんだと思います。 だから、現実にこの日が訪れたにもかかわらず、俺はあなたにかける言葉が見つからない。今日朝比奈さんと会ったときからずっと、俺は最後の言葉を探していました。 でも、俺の知っているどんな言葉も朝比奈さんへの気持ちを言い表せないでいる。そして俺はそんな不甲斐ない自分に憤りを覚えるのです」 そう言った彼の表情や仕草から、彼が本当にわたしのことを想ってくれていることがよくわかった。でも、その想いはわたしの望む想いとはかけ離れたものだった。 わたしは彼に愛してもらいたかったのだ。でも、彼が本当に好きなのは…… ふたりの間に沈黙が訪れ、周囲の雑踏が遥か遠くに聞こえるような錯覚に陥る。 ほんの刹那の短い時間だっただろうが、わたしには永遠と思われるほどの長い時間が過ぎた後、わたしは意を決して顔を上げ、一縷の望みを託して彼に自分の決意を告げた。 「キョンくん、真剣に聞いていただきたいことがあります」 彼はわたしの真剣な表情に一瞬たじろいだものの、わたしの決意の大きさを瞬時に知って大きくうなずいた。 「わたし達時間駐在員が過去に遡った場合、その時間平面での行動は大きく制約されます。そしてそこでのトラブルはすべて自己責任で解決し、そのうえで任務も全うしなければなりません。 しかしその対価として、任務を全うした時間駐在員には、元の世界に返るか、それともこの時間平面に留まってこの時代の人間として暮らしていくかの選択権が与えられます。 過去に派遣された時間駐在員の中には、その時間平面の世界に愛着を抱いてしまう者もいたからです。でも、この世界に残るということは元の世界の家族や友人を失うということを意味します。 だから、たいていの時間駐在員はその時間平面に未練を残さないように己を律して任務にあたるのです」 ここまで言って、わたしは間を空けて唇を舌で湿らせる。次の言葉を言うか否かの迷いとともに涼宮さんの悲しげな表情が脳裏に浮かんだが、心に生じた迷いを振り切ってわたしは次の言葉を彼に告げた。 「わたしも当初はこの世界に未練を残さないように慎重に行動してきたつもりでした。でも、わたしはキョンくんのことが好きになってしまった。そしてその気持ちは日増しに強くなっていく」 「朝比奈さん……」 「わたしは別れの言葉を聞くためにこの公園にキョンくんといっしょに来たわけじゃないわ。キョンくんにわたしの本当の気持ちを知ってもらいたかったの。 わたしはキョンくんのことが好きです。だから……もしキョンくんが望むのでしたら、わたしはこの時間平面に留まり、この時代の人間として生きていくつもりです」 わたしは、いままでずっと胸に秘めていた想いを、ようやく彼に告白することができた。 告白し終わった後、彼は怖いくらいの真剣な表情で悩んでいるのがわかった。彼が、わたしの告白を聞いて、これほど真剣に悩んでくれていることが、わたしにはとても嬉しかった。 だから、この後どのような結果が訪れようとも、わたしはそのすべてを受け入れるつもりだった。 周囲の雑踏は消え、時間さえも止まり、わたしと彼だけが静止したこの世界の中に存在しているかのようであった。 彼はゆっくりと顔を上げ、わたしの目をじっと見ておもむろに口を開いた。 「朝比奈さん、やっぱり俺は、朝比奈さんは未来の世界に帰るべきだと……」 「キョン!!」 彼の言葉を遮るかのように、彼を呼ぶ声が聞こえた。わたし達は声のした方向を振り返る。涼宮さんが、息を切らして、彼とわたしのもとに駆け寄って来た。 「ど、どうしたんだ、ハルヒ」 びっくりした表情で声をかけた彼に、涼宮さんは息を切らしながら答える。 「あ、あんたが、あんたがこの世界からいなくなっちゃうような気がして、それで……」 すがりつくように彼にそう訴える涼宮さんの様子から、勘のいい彼女が真剣に彼のことを心配していたことがわかった。その様子を見てわたしの中の緊張の糸が切れたような気がした。 涼宮さんはわたしの顔と公園の時計を交互に見て、 「ご、ごめんなさい」 と謝り、すまなさそうな表情でこの場から立ち去ろうとした。 「待って」 わたしは涼宮さんに声をかけて、この場から立ち去ろうとする彼女を引き止めた。 「もう、キョンくんは涼宮さんにお返しします。キョンくんに聞きたかったことは、全部聞くことができたから」 「みくるちゃん」 「キョンくんとお幸せに」 涼宮さんはどうしていいかわからない様子でしばらくその場に留まっていたが、やがてわたしの心情を察してくれたようで、彼の方を向いて声をかける。 「キョン! 行くわよ!」 立ち去り際、涼宮さんはわたしの方を見ずに、わたしに声をかけてくれた。 「みくるちゃん、あたし達は例え卒業して離れ離れになってもずっとSOS団の仲間なんだから、困ったことがあったらいつでも言って来てよね。あたしにできることなら何でもするわ」 そう言った後、涼宮さんは彼の手を取り、ゆっくりとわたしから遠ざかっていった。 涼宮さんは知っているのだ。細かい状況や理由は知らなくても、もう二度とわたしと涼宮さんが出会うことはないということを。 公園を出て行く最中に、彼と涼宮さんがいつもの痴話げんかしだしたようで、出入り口付近で、涼宮さんが彼の腕を叩いている様子が見えた。 さっきまで公園を赤く染めていた夕日はいつのまにか完全に沈み、街灯に照らし出されたふたりの姿がセピア色に染まっていくような感じがした。まるで映画のワンシーンのように。 ふたりは、いつも部室で見るように、微笑ましいけんかをしながらわたしの視界から姿を消したが、その二人の様子を見てわたしの脳裏にある疑問が思い浮かんだ。 今日、わたしといっしょにデートをしてくれた彼は、果たしてわたしの好きだった彼なのだろうかと。 さっき、涼宮さんの横にいた彼は、確かにわたしの好きな彼だった。でも、涼宮さんと別れてわたしと付き合うことになっても、彼はわたしの好きな彼のままでいてくれただろうか。 その疑問に対する解答をわたしは持っていない。わたしは彼にふられたのだから。でも、きっと彼は…… 負け惜しみだとは思わない。わたしは涼宮さんのことが好きな彼が好きだったんだ。だからこれでよかったのだ。 公園の時計に目を移すと、長針が12を指す直前だった。秒針が刻々と時を刻み、12へと近づいていく。 ポケットに手を入れると、何度も何度も消した跡のある白紙の便箋が出てきた。この便繊に彼への想いを綴ろうと試みたのだが、どのような言葉もこの想いを表現することはできなかった。 わたしはその便箋を封筒に入れて、彼との思い出の残るベンチの上へ置いた。彼がこれを見つけてくれることを願って。 秒針が12を差し、そのときがやって来た。 もう何度も経験したことのある強烈な立ちくらみと共に周囲の風景が暗転し、わたしは、彼への想いをこの時代に残して、彼の住む時間平面を後にした。 続く
https://w.atwiki.jp/sherpa2000/pages/35.html
「検索と選択」で条件検索をする場合。 配置されているモデルから要素をスポイトで抽出して、同じ要素に該当するものを一括選択することができます。
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/212.html
これが薬師の選択です ◆KZj7PmTWPo 「―――っ、はっ! はぁ、はっ、はあぁ……。何とか撒いたか……?」 高鳴る鼓動を掌で押さえ、喘息の様な荒ぶる吐息を正すべく一人の青年が地へと座り込んだ。 岡島禄郎ことロックである。 彼は今し方、人外化生なアーカードの猛威を咄嗟の機転で潜り抜けたばかりであった。 吸血鬼は河を渡れないという伝奇を信じて、河川に設けられた石橋を必死の思いで横断した次第だ。 一般人の自分が粉塵爆破という方法で規格外の獣を退げたから良かったものの、少しでも策を見誤れば確実に命はなかった。 極限までに高められた緊張の反発が、今更ながらに額や背筋から凍える冷や汗となって滴り落ちてくる。 「くそったれ! 聞いてないぞ、あんな化物……っ」 胸中で抑えきれぬ悪態が外へと飛び出し、ロックは自棄気味に大の字に寝転がった。 今まででも弾丸吹き荒れる危険地帯に身を晒されたことはあれど、流石に範疇を越えた化物が相手だと肝の冷え具合も格段に違ってくる。 強者と疑うべくもない程の息苦しい威圧感と圧迫感、漫然且つ冷然とした途方もない殺気が毛穴の奥まで突き刺さっていたのだ。 正気を保ちつつ策を講じる余裕まであったロックは、大健闘したといっても過言ではない。 だが、大金星を上げたからと言って慢心する余裕など持ち合わせてはおらず、直面した事実に今でさえ恐怖心を抱えていた。 こちとら幾分の修羅場を潜り抜けたとはいえ、彼自身に戦闘技術など皆無。 単独で絶体絶命の危機に遭遇することは、多量の精神を磨り減らす行為だということを改めて自覚する。 ロックの相棒―――レヴィは単身奮闘する度胸の据わりに据わった女性であるが、 これが彼女の世界だと認識してしまうと、なにやら理解の出来ぬ尊敬心が湧きあがってくるというものだ。 ―――まあ、彼女はこういったスリルを快楽とする、言わば戦闘狂な節があることを否定はしないが。 ともかくも、一刻も早くアーカードを遠ざけるべく移動を開始したいところだが、心肺機能の悲鳴と連鎖して脚部までもが棒の様に張っている状態だ。 足を動かしたくも、数分の休憩を要さなければ意のままにならない。 今は休息が肝要かと思い、ロックは仰向けの体勢で群青に染まりつつある大空を眺めた。 気付くと、ゲームが開始されてから既に数時間。黎明期が過ぎ去った時間帯の中で、一睡することも儘ならぬ状況に放り出されたのだ。 ここで瞼を閉じてしまえば、夜通し駆け回って蓄積した疲労が睡魔となって襲い掛かってくること請け合いである。 一時の欲求に従って安穏とするのも有りか、そこまで思ってロックは勢いよく上体を起こす。 「駄目だ駄目だ……。あの時代錯誤野郎が河を渡る可能性……いや、尋常ならざるスピードで遠回りしてくる可能性もありか……」 ロックは頭を振りながら自問する。 このような隠れ蓑とも成り得ぬ場所で、むざむざと惰眠を貪っている最中に襲われでもしたら目も当てられない。 一度目はアーカードの猛威を凌ぎきった。 だが、確信できる。―――二度目はないと。 謀られた行為を犬に噛まれた些細な出来事と諦めて、追跡に自制を利かせてくれれば僥倖だが、そうそう都合の良い展開が訪れる筈もない。 何事もなく苦難を素通り出来たことが、今までの経験上でも例がないことは百も承知。 基本的に、ある日を境に災難塗れの人生を歩んできたロック。此度の人生一の凶難とも言える出来事すらも、巡り合う不運の延長線上だと諦めも付いている。 だが、平々凡々の人生を歩んできた自分が幾多の災禍にまみえた時とて、それ以上の幸運を持って切り抜けてきたのだ。 バトルロワイヤルと称した冗談紛いの状況で、無様に死んでやるなどロックの誇りが許さない。 確かに、アーカードと再び相対すれば彼の命など微塵の如く磨り潰されるだろう。一度欺かれた相手に油断を見せるような愚考すらも犯さない。 正に問答無用で有無を言わさず、ロックの儚い生命など屠って始末を終えることは間違えない。 恐らく、ロックに対して用心深くなったアーカードに今一度奇策を用いるのも、ある意味無謀で危険極まりないのだ。 その中で最も生存率の高い方法を考慮するならば、普通に考えて一つしかない。 ―――つまり、相手にしなければいいだけのこと。端的に云うと、意地でも逃げ切る。その一辺倒に尽きた。 決して速いとはいえない速力で逃走できるかはともかく、一箇所に留まって敵に捕捉されるのだけは何としてでも避けたいものだ。 ロックは上昇した体温によって湧き出た汗を拭い、渇ききった口内を潤すべくバックへと手を伸ばす。 暫しの休息を取った後は、直ぐにでも行動を開始するつもりである。 この悪質な殺し合いに、同じく付き合わされているレヴィとも早急に合流する必要があったからだ。 彼女の安否に気を病んでいるわけではない。傲岸不遜に無茶をやらかしていないかという不安が、何よりもロックに心配の種を植え付ける。 一度性根に火が灯れば、それこそ見境無く周囲を燃やし尽くすほどに気性が激しい女性なのだ。 レヴィが起こした惨事の後始末は決まってロックの仕事であるからして、絶えない気苦労を常に背負う身にもなってもらいたい。 本人がいない内での正しく身勝手な思考だが、胸中による陰口ぐらいは容認してくれてもいいのではないか。 考え出すと理不尽な感情に苛まれる。精根尽き果てること寸前な溜め息を零し、バックから覗いた水分の容器を口に含めるべく手に取った。 一先ず呼吸と思考を落ち着かせる意味を込めて、潤い求める口内に水分を与えてやろうと容器を持ち上げる。 その間際、警戒緩んだロックの耳朶が、ザッと地を踏みしめる音を正確に聞き取った。 「―――っ!?」 疑うべくもない明らかな足音に、何事かと跳ねるように視線を走らせる。その拍子に、手に持った水の容器は意図せぬ内に放り投げていた。 「っはぁ……はぁ、はぁ。やっと……追いつきました」 ロックが捉えた視界上には、膝に手を突きながら息を整える少女の姿があった。 彼女の言葉の意味を顧みれば、どうやら自分を追って来たと見て間違いないようだ。 ―――だが、どうして? 彼は警戒が孕んだ訝しげな視線を少女へと寄せる。 「―――俺に……何か用なのか?」 半ば腰を浮かせつつ、何時でも攻防可能な体勢を維持して問いかけた。 鋭い眼光を浴びせかけられた少女は、我に返ったように慌てて腕を左右に振らせる。 「あ、ち、違いますよ? ちょっとお聞きしたいことがあって、その……いいですか?」 「…………」 彼女はロックに対して危害を加えないと、念を押しながら訴えている。 だが、彼の厳かな眼つきは依然と変わらず、慌てふためく彼女の調子にも動じた様子がない。 それでも会話を交わすつもりは元よりあったために、視線で牽制しつつも続きを促すよう軽く頷いて見せた。 彼女は一つ安堵の息を洩らし、緊張した面持ちで口を開く 「あ、あの……あなたは、ルイズフランソワーズ、ル、ブラン、ドラ・ヴァっ!?」 「は?」 「ひ、ひたい……」 なんなのだこの少女は。 理解不能な単語を口走ったかと思えば、舌を噛んで自滅するという体たらく。 涙目な表情がまた過保護心をそそられるが、ここで油断をしてはいけない。 幾ら年若い女性が苦痛に顔を歪めようが、一度甘い顔をして隙を曝け出すことこそが彼にとっては自殺行為。 いや、むしろ女性だから警戒すべきである。 ロックがラグーン商会の一員となってから、まともと言える女性と果たして巡り合えたのか。 貞淑で美しい、もしくは活発で可愛らしい女性に巡り合えたか。この際、普通でも良い。よく思い返してみれば瞭然だ。 否―――皆無であった。 彼の周辺に生息する女共、もとい雌な獣共は例外なくぶっ飛んだ頭のネジが斜め上を爆走する奇想天外で珍種な人格なのだ。 ロックが身を寄せる世界が悪いのか、はたまた異性との巡り合わせが極端に不運なのか。 どちらにしろ、彼が相対する女性は碌な人間ではない。 よって、失態に顔を紅潮させた女性をことさらに注視する。 警戒心によって気付くのが遅過ぎたが、違和感この上なかった。 常識的な服装とは言い難い、何処か辺境民族が着こなす様な出で立ち。 そして、それ以上に珍妙と言わしめる要因が少女にはあった。 「……コスプレか?」 「こ、こすぷれ……?」 ロックが少女の姿を仮装と称した理由は他でもない。側頭部より突き出る獣耳に、後方より見え隠れする尻尾らしきもの。これが原因だった。 コスプレという単語に、彼女は不思議そうに聞き返す。その際に揺れた。飾り物だと思っていた獣の部位が、感情に反応したかのようにだ。 ―――あぁ、なんだ……。 なんてことはない。彼女も人外か。 つくづく一般人の定義とは無縁の人生だと、ロックは心底疲れ果てたかのように掌で顔を覆う。表情は、何処か哀愁を漂わせていた。 もういい。警戒するのも馬鹿らしくなってきた。 彼女からはアーカード寄りの危うさは感じられないために、気を揉むのは最早徒労だろう。 これみよがしに溜め息を吐いて見せ、改めて彼女へ向き直る。 「それで? えっと、ルイズなんだって……?」 「あ、はい。ルイズ、フランソワーズ、ル、ブラン、ドラ……ヴァリエール! よしっ。……は、あなたの名前ですか?」 「いや、違うけど」 「……え?」 一度は躓いた名前を最後まで舌を噛むことなく言い切ったことは、彼女にとってさぞ爽快であっただろう。 ある意味喜びがひとしおであったために、ロックの素っ気無い一言は無慈悲とも言えた。 茫然としていた少女だが、諦め付かぬのか再び言葉を走らせる。 「……なら、あなたの名前を教えてもらえますか?」 「岡島……いや、名簿上はロックだけど」 「……もしかして、人違い?」 「もしかしなくとも人違いだね」 少女は既に投げやりなロックの言葉を吟味し、その意味に気付くと落胆して肩を落とした。 彼女はルイズという人物を探すことを目的としていたのだろうか。 初見の対応からして、どうやら知り得た情報は名前だけのようである。まさかとは思うが、誰彼構わずルイズかどうかを聞いて回っているのだろうか。 流石にそれは間の抜けた話だ。ロックを追いかけてきたところからすると、何かしらの根拠があったのだろう。 頭を抱えた少女に、一先ず聞いてみることにする。 「あの、さ。どうして俺がルイズだと思ったんだ?」 「え? あぁ……実はですね―――」 信じ難い話だが、どうやら特殊な道具によって人物を特定していた模様だ。 会話の最中に名乗った少女―――エルルゥは甲斐甲斐しく道具に対して解説する。 一見何の変哲もないステッキを倒すことにより、探し人が点在する方角を高確率で指し示すらしい。眉唾物の話だ。 当の本人も理解できていないようだが、当然ロックとて原理については皆目見当も付かない。 そういった用途の道具であることは間違いないようだが、現に自分がルイズでない以上、ステッキの有用性については疑わしいものだ。 「だけどさ、結局当たらなかったんだろ、そのステッキ? 胡散臭くないか……」 「うっ……。い、いえ、あなたがルイズさんでない以上、誤った行動を取ったのは自分ですし……」 エルルゥの言い分によると、どうやらステッキを倒した方角に、偶然ロックがいたのだと言う。 本来ならばルイズを正確に特定しており、その射線上に彼が割り込んだと見るほうが自然なのではないか。 だが、ロックを目にした途端に彼は走り出したものだから、焦った彼女が咄嗟に追いかけてしまったのも無理はない。 そして、何よりも直視し難い現実から目を逸らす為にも、あの場へ留まりたくはなかったのだ。 「それに、わたし見たんです……。真っ黒い人が、その……」 「―――いたのか、君も……」 幾許もない過去の恐怖が再燃したのか、エルルゥは全身を震わせながら言い辛そうに言葉を濁す。 その恐怖を身で持って体験したロックは、あの場に目撃者がいたことに若干の驚きと共に安堵の息を付いた。 あれだけの爆音だ。気が付かないほうがおかしいが、安心したことはそれが原因ではない。 アーカードの異常な気配察知能力からすると、あの場へ無防備にいたエルルゥなどすぐさま捕捉されていたのではないだろうか。 仮に自分が殺されていれば、次への矛先は彼女だったのかもしれない。 そう考えると、無茶を賭してまでアーカードと対峙した甲斐もあるというものだ。 ロックはエルルゥの震える身体を宥める様、軽く肩へと手を置いた。 「何にせよ、お互い無事で幸いだったね」 「はい、本当に……。あんな人がいるなんて……この世界は危険極まりないということが良く理解できました」 「……いやいや。そんな規格外な生物を俺らの世界に並べないでくれ……」 あまり同一視にしてほしくないものだ。 さらにエルルゥの発言。 世界という単語で区別する辺り、やはり彼女は異世界人のようだ。 それも当然か。ロックの世界には獣耳を先天的且つ天然に生やした人類など存在しないのだから。 それを興味心で問い掛けるのも若干憚られたために、特に言葉を挟むといったことはしなかった。 「ともかくね。あの野郎はアーカードって言うからさ、彼周辺の知人にも気を付けた方が無難かもよ」 「あ、アーカードですね……。分かりました、気をつけます」 アーカードに遭遇してからでは逃走するのも至難の業。一番は近づかなければ最善なのだが、もしかしたら偶然が重なって遭わざるを得ないかもしれない。 それはもう、自身の不運を嘆くしか道はないだろう。そして打倒すべくもないのなら、逃げの一手に徹するしか生きる手段はないのだ。 ―――だが、それでもだ。エルルゥの不思議なステッキを活用すれば、危険人物との遭遇も掻い潜れるのではないか。 「思ったんだけどさ。君のステッキは探し人を特定するんだろう?」 「え、はい。そのようですけど……何分一度しか使ってませんから成功率の程は……」 「まあ、この際ギガゾンビの能力を信じてだ。そのステッキをアーカードへ向けて使用したら奴の方角が分かるだろう?」 「あっ……、なるほど……」 エルルゥは感心したように頷いた。 ロックの考察を噛み砕くと、確かにステッキの更なる有用性が期待できる。 つまり、アーカードの居場所をステッキで探り当てる。向けられた方角より、逆に移動することによって出会う危険性を失くしてしまえば良い。 正しく根本的なことだ。 「ただ確率に任せた道具であるだけに……外れたらどうなるんだ?」 「さぁ……。七割方成功だと説明書には明記してありますが……」 だが、ステッキの的中する確率が七割らしく、残りの三割はどうなるのか。 外れた結果が見当違いの方角を指し示すのならばまだ良い。 正直目も当てられないことは、倒れたステッキが正反対の結果へと陥ることだ。 望む人物は遠ざかり、危惧すべく人物は接近する。所謂神頼みだが、本人の知り得ぬところで正否が下されている分始末に終えない。 非常に有効活用できる道具ではあるが、多様はすべきではないだろう。 「なら、それが本当に不思議な力のある道具が試してみないか? 奴を使ってさ」 ロックは数時間前に離れた商店街を遠目で見詰める。 そこはアーカードに一矢報いた爆心地。 彼の視線をエルルゥは辿った後、納得したように頷いた。 「そうですね……。時間制限もありますが、今は一刻も早くあの人から離れたいですし」 エルルゥとしても、果たしてステッキが望み通りの結果を導き出すか知っておきたい身。 ルイズの捜索には失敗したものの、此度は幸いなことに、アーカードの居場所を漠然ながらに特定はしているのだ。 爆発の直撃を喰らった状態で仮に移動したとする。それでもステッキが指し示す方向が商店街周辺、もしくは自分達から見て東寄りならば確信が持てる。 それはロックにも好都合。人様の道具に便乗して自分の危機を回避することができるかもしれないからだ。 意外とあざとい男だが、エルルゥ本人が彼の意図を見透かしていないのならば万事問題ない。 彼女は不慣れな手付きで四次元バックをひっくり返す。 なかなか豪胆な姿にロックは苦笑しながらも、エルルゥは錯乱した道具を掻き回して一振りのステッキを取り出した。 「これがたずね人ステッキです。―――では、いきます」 信頼性を求めて、何の装飾もない普通の杖を地へと突き立てる。 エルルゥは小さく息を吸った。 「―――アーカードさん……どーこだ」 言葉と共に手を離し、突き立てたステッキが重力に引き寄せられる。 コテンと、ステッキは地面へと水平に倒れ伏した。 彼等はステッキの先端を辿って面を上げ、指し示す方角へと目を向けた。喜びと感心の吐息が二人より漏れ落ちる。 「間違いなさそうだな……。偶然って訳でもないんだろ?」 「は、はい! ステッキが独りでに倒れた感じだったので……不思議な力が作用したのかも」 「そうか……。このまま遠ざかれば一先ず安心ってところかな」 倒れたステッキは石橋を挟んだ向こう側、つまり市街地へと正確に向けられていた。 これで若干ながら、ステッキに活用能力があるのだと納得できる。 満足のいく結果に、エルルゥは緩んだ笑みを浮かべながらステッキをバックへと仕舞い込んだ。 次に、彼女は傍に転がる名簿へと手を伸ばす。 掴んだ名簿を広げ、筆記用具を握り込みながら何やら書き込み始めた。 「……? 何をやっているんだ?」 「はい。人物の特徴を少々。他の人が見ても分かるように、ロックさんやアーカードさんについて記載しとこうかなと思いまして……」 「へぇ……。意外と几帳面だね」 「意外は余計ですっ。これでもわたしは薬師ですから、こまめに情報は記録する性分なんですよ」 「薬剤師か……。じゃあ薬なんて楽々調合できたりする訳だ」 「あ、あはは……。わたしなんてまだまだ未熟な身ですから、そんなことは……。―――それにしてもこの筆……便利ですねぇ」 ベナウィさん喜びそう―――そう感慨深げに呟いた。 墨汁要らずの鉛筆を、それこそ科学の集大成な如く感心したように使用する。 その様は大げさにも思えたが、世界観が違うのだから価値観も違ってくるのだろう。 熱心に名簿へと書き込むエルルゥを傍らに、手持ち無沙汰となったロックは錯乱する彼女の荷物を眺め見る。 薬師というだけあって、確かに薬品ばかりが目に付いた。支給されたのか、もしくは近場で回収したのか。 道具をある程度この街で収集したのならば、意外と目敏く活発な少女だと印象を変えざるを得ない。 街としての形状を保った此度の舞台ならば、日用品に限らず、武器や食料も備え付けられているのではないか。 再度街中を訪れて、自衛に役立つ掘り出し物を捜索してみるのも良いかもしれない。 適当に曖昧な方針を浮かべていたロックであったが、一際目を捉えて離さない物品が視界の中へと飛び込んできた。 それは瓶の容器に入った、鮮やかで淡紅色な液体。何となく手に取ってみる。 あらゆる角度から眺め、とりあえず蓋を抜いて香りを嗅ぐ。これも何となく好ましい匂いがした。 そして、何となく口に含んでみたい欲求に駆られる。 何となく尽くしという抽象的な思考だが、本能が誘われるのだから仕様がない。それは、口内が水分を欲していることにも相乗した。 鮮やかな着色料は得てして食指を動かしてしまうというものだ。 ロックは地面へとぶち撒けられた自身の水に向かって残念そうに瞑目し、遂にエルルゥが所持する水分へと目を付けた。 「エルルゥ……聞くけどさ。ここにある液体類は全部安全だよな……?」 「んー。そうですねぇ……。全て薬品類だと思いますから害はないですよ」 「ついでにさ、ちょっと水を分けてもらってもいいか?」 「どうぞー」 エルルゥは名簿記載に夢中になっていたために、ロックの問い掛けに対して見向きもせずに空返事で答えてしまう。 了解は得た。ほんの一口。微量に嚥下するだけでよい。不味ければ止めればいいだけのことだ。 何故こんなにもロックを魅了して離さないのかは疑問に尽きるが、それこそ舌で確認してみれば解決する。 「じゃあ、水を少しと……この瓶に入った液体、何かしらの薬なんだろ?」 「どうぞー。―――え? 瓶……?」 脳裏の片隅にあった瓶入りの薬。ロックの発した言葉により、エルルゥは正気に返ったように振り返る。 彼女が目の当たりにした光景は、今正に禁忌な薬入りの瓶を口許へ傾けたロックの姿。 既に予断も許さない状況へと差し掛かっている。 ロックが瓶より滴り落ちる液体薬を口に含んだその瞬間に、エルルゥは焦燥に駆られた様子で飛び掛っていた。 「―――ダメえええぇぇ!!」 「ぶぼ―――っ!?」 勢いのままに、たずね人ステッキでロックの横っ面を殴打していた。彼は奇声を上げて吹っ飛んだ。 視界より消失したロックを意に返さず、重力に導かれるままに彼の手より放れて落下していた瓶―――即ち惚れ薬を見事にキャッチする。 容器の中身に注目して、彼女は表情を引き攣らせた。 「あ、あわわ……。へ、減ってる……。まさか―――」 「うっ、ぐぅ……い、一体何を……」 エルルゥは数割方消失した液体から目を離し、呻き声を上げたロックへと恐る恐る振り返る。そこには、頬を押さえながら地面に蹲る姿が確かにあった。 ―――確実に飲まれた。呪いといっても謙遜のない惚れ薬をだ。 彼女の頬を冷や汗が伝った。 惚れ薬の解説書によると、最初に視界に入った人物へ狂人的な好意を寄せるのだと言う。 それは雛鳥の如く、一度でも顔を突き合わせてしまえば数時間限定で嗜好を曲解させてしまうのだ。 そして、周辺にエルルゥとロック以外の人間は見受けられない。 痛みに震えるロックから、エルルゥは顔を青褪めて後退る。 「こ、これはもしかして……危険だったりするのかしら」 幸いなことに、ロックは未だ頭部を俯かせたままで、面を上げる様子がない。 だが、一度目が合ってしまえば惚れ薬の効果を実証してしまうのではないか。 エルルゥはこの先起こりうる結果を補完すべく、脳裏で妄想してみる。 『ダメだ……我慢ならないっ。好きだ! 好きだ!! 愛してる!!』 『こ、困ります……わたしには御傍にいて尽くすべき人が―――』 『それがなんだってんだよ!! その程度の境遇で! 俺の愛を如何にか出来ると思うなよ!!』 『あぁ……。わたしはどうすれば―――』 『むっ、そこにいるのはエルルゥなのか!?』 『え!? は、ハクオロさん! 無事だったんですね……っ』 『君も無事で何よりだ……。ところで、そこの御仁は?』 『あ、いや。その……この人は―――』 『―――将来を越えて来世まで誓い合った永遠の伴侶だ。あんたは元彼だな?』 『も、元彼? 伴侶? 何を言ってるのだ……』 『ち、違いますよハクオロさん!! 伴侶だなんて真っ赤な嘘で―――』 『俺はエルルゥを愛してる! エルルゥも俺を愛してる! 付け入る隙のないっ、言わば相思相愛な間柄だ!!』 『そ、そうなのかエルルゥ?』 『だ、だから違うと―――』 『エルルゥは俺のものだ!! 俺はエルルゥのものだ!! 安心してくれ元彼さん! 彼女は俺が責任をもって生涯大切にする!!』 『そうか、そうだったのか……。すまなかったなエルルゥ。私が気を利かさないばっかりに、君には不憫な思いをさせていたのだな……』 『ちょ、まっ―――』 『妹を送り出す気持ちというのは、存外に寂しいものなのだな……』 『いいや。あんたがいたからこそ、今のエルルゥがあるんだぞ? ありがとう、感謝しているよ』 『……ああ。そういって貰えると救われるよ。こちらこそ礼を言おう。―――エルルゥ、幸せになれよ?』 『そ、そんな……』 先の妄想、その間実に秒針一振りにも満たなかった。 筆舌に尽くし難い現実を否定するべく、エルルゥは戦慄した様子で頭を振る。 有り得ない現実である。だが、ハクオロの鈍感振りを察するに、決して無いとも言えないのが悲しいところだ。 ロックの行動次第では、自身の一生を作用しかねない可能性が無きにしも非ずと言える気がしてくる。 大げさな様子ではあるが、エルルゥにとってはある意味死活問題。 実際に都合良くハクオロが現れることなど有り得はしないが、今の彼女の思考は混乱極まりなく逸脱している状態なのだ。 薬師として、傷を負ったロックを放置してもいいのか。はたまた、この場に留まり要らぬ好意を向けられて許容できるのか。 前者も後者も自業自得だが、どちらも引くに引けない二律背反な矜持なだけに、妄執に囚われた心は躊躇いを生じる。 「―――痛てて……。何なんだ……」 「っ!? ―――ご、ごごご……」 だが、都合は決してエルルゥに同調してくれる筈もなく、無慈悲な時間は着々と進んでいくのだ。 ロックが動作する度に、エルルゥは過敏に肩を震わせる。 早急に方針を固めなければ、このままでは取り返しの付かない事態に陥ってしまう。 ―――どうする。どうする。 考え出すと堂々巡りの禅問答になってしまう。これでは意味がない。 よって、ヤケを起こして本能に身を委ねることにする。 ―――すぐさま決めた。 自分は薬師だ。傷付いた、もとい傷付けた人間を放ってまで体裁を気にするなど薬師として失格。言語道断だ。 惚れ薬が何だ。彼女の決心を鈍らせる程の代物なのか。―――否、断じて否だ。 ―――外聞? 体面? それが今この状況に必ずしも必要なものなのか。それも否だ。 近辺には人間だっていない筈だ。根拠はないが、いないと判断する。 ともかく揺ぎない決意は既に纏め上がり、後は彼女自身が実行するのみだ。 エルルゥは素早く荷物を掻き集め、軽快に踵を返す。 この選択が、自分にとって最良最善で至高の選出だと彼女は信じて疑わなかった。 瞼を閉じて大きく深呼吸。新鮮な空気を肺に満たすことにより、気概を一新して面構えを持ち直す。 ―――さあ、今こそ自身が信頼すべき躍進の一歩を踏み出すときだ。 「ごめんなさいーーーーい!!」 ―――逃げた。 【E-2/1日目/早朝】 【ロック@BLACK LAGOON】 [状態] 健康 [装備] ルイズの杖@ゼロの使い魔 [道具] 支給品三人分(他武器以外のアイテム2品)・どんな病気にも効く薬@ドラえもん・現金数千円 [思考・状況] 1:混乱 2:アーカードを回避しつつ、レヴィとの合流 [備考] 1:支給品は一つのデイパックへまとめてあります。 2:ロックの水分は喪失。 3:惚れ薬を微量服用のため、効果発動中。初見の異性に狂想的な好意を寄せる。 【エルルゥ@うたわれるもの】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:惚れ薬@ゼロの使い魔・たずね人ステッキ@ドラえもん・五寸釘(残り30本)&金槌@ひぐらしのなく頃に 市販の医薬品多数(胃腸薬、二日酔い用薬、風邪薬、湿布、傷薬、正露丸、絆創膏etc) [思考・状況] 1:自己嫌悪に陥るも、一先ずロックより逃走 2:アーカードより遠ざかる 3:他の参加者と情報交換をし、機を見計らってたずね人ステッキ使用。ハクオロたちの居場所を特定する。 4:ハクオロ、アルルゥ、カルラ、トウカと合流し、ギガゾンビを倒す。 基本:仲間と合流する [備考] 1:惚れ薬→異性にのみ有効。飲んでから初めて視界に入れた人間を好きになる。効力は長くて一時間程度。(残り六割) 2:たずね人ステッキ→三時間につき一回のみ使用化。一度使用した相手には使えない。死体にも有効。的中率は70パーセント。 時系列順で読む Back 死と少女と Next 遠坂凛は魔法少女に憧れない 投下順で読む Back 死と少女と Next 遠坂凛は魔法少女に憧れない 45 吸血鬼の倒し方 ロック 95 Is he a knight? 60 薬師は見た? 血で血を洗う商店街! エルルゥ 101 眼鏡と炎と尻尾と逃避と紅茶
https://w.atwiki.jp/girlfriendline/pages/2565.html
寝起き う~ん、剣道って何から準備すればいいんですかね?面とか小手とか…あ、それは用意してあるかなぁ。 おはようございます。今日は体育の選択授業ですよ~ 張り切っていきましょう、先輩! 選択授業ですか?あたしは剣道にしてみました。初めてなんですけど、上手くできるかな~? 稽古の準備中 あっ…胴と前垂れって、別々のものだったんですね…へえ〜 えっと…あれれ?先輩、面のつけ方ってわかりますか? え、面をつける前に手拭いを?わわわ、そうでした〜 面紐をこうやって…もぉ、面のつけ方ってややこしすぎるよ〜 わわ、思ってたより軽いんですね!胴ってもっと重いのかと… 打ち込み稽古中 うぅ、隙といわれてもどこに…どうやって打ち込めばいいのかな? 打ち込み稽古?打ち込むんですか?よ〜し、遠慮しませんよ〜 え、先輩は反撃しないんですか?はあ、そういう稽古…ですか。 上級者が受けて、下級者が打ち込む…了解です。頑張りまっす! わざと隙を?そこに打ち込めばいいんですね…わかりましたっ! 互角稽古中 互角稽古?柔道の乱取りみたいなものですか…ふむふむ。 神前に礼!お互いに礼!…さあ、張り切っていきますよ〜 対等の立場で、ですね!手加減はしませんよ〜 なんちゃって♪ 二刀流っ!?それはあの有名な…せ、先輩は一体何者ですかっ! 見合って見合って〜 って…えへへ、それはお相撲でしたね♪ 素振り中 竹刀を左右に?へえー、左右素振りっていうんですか〜 竹刀を真っ直ぐに振り上げて…出足と同時に、えいっ! 正面素振りはわかります、普通の素振りのことですよね? 前に1回、下がって2回…ふぅ、素振りってけっこうハードですね〜 わっ、はじめて知りました!素振りにも種類があるんですね! 稽古で奮闘中 そろそろ授業開始ですか?大丈夫、まかせといて下さい! わわ、バランスが!けっこう難しいんですね、“そんきょ”… 倒れ込むように送り足を…わわわ、本当に倒れちゃうよ〜 上体はブレないように?はい、運足の基本ですねっ! よっし、一本!あ、あれ…ガッツポーズはダメなんですか? だらだら 選択で剣道です。子供の頃は結構チャンバラも…あ、近所の男の子たちとですけどね。 それじゃあ、面と胴をつけて、っと…あれ?ゼッケンはどこにつければいいんでしょう? め〜んっ!ど〜うっ!こて〜っ!…って、こんな感じで声を出していかないといけないんですよね。 就寝前 1、2、1、2…寝る前のストレッチ中です…しっかり筋肉をほぐしておかないと…先輩もどうですか? はぁ…剣道って、思ったより大変なんですね。もうヘトヘトで… 今夜はぐっすり眠れそうです… やっぱりラクロスの方があたしには合ってる気がしました。剣道も素敵なんですけどね。 就寝中 すぅすぅ…あ、先輩……先輩も剣道…よろしくお願い…すや… ムニャムニャ…選択授業……剣道…うぅん、なかなか…Zzz ムニャ…一本ですか……有効?あれ…今度こそ…すぅ… おしゃべりアイテム 発見 選択授業の道具ですか?…えっと、それは何でしょう? 竹刀 起床中 いざ尋常に、ですね! えへへ、一本とられちゃいました サイズも色々あるんですね〜 次はあたしの番ですよ〜 長さの目安は…えっとぉ 二刀流っていいんですか? はい、竹刀ですか? まだまだですよ、もう一本! よ〜し、負けませんからね〜 わわっ、不意打ちはなしですよ! 就寝中 すぅすぅ…えっと、試合用…練習用?竹刀はちゃんと…Zzz すぅすぅ…これは、竹……竹でできて…め〜ん…Zzz すぅ…さぶろく…さんなな……さんぱち?竹刀が…すやすや… スヤスヤ…竹刀の長さは……床から腋まで…肩…すぅ… スヤスヤ…正面に……お互いに…礼……始めっ…すぅ…